Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
天野 光; 小沼 義一*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 255(1), p.217 - 222, 2003/01
被引用回数:8 パーセンタイル:49.89(Chemistry, Analytical)チェルノブイル事故炉周辺30km圏で採取した土壌につき、Cs-127,Sr-90、及びPu同位体の土壌中深度分布と存在形態を調べた。存在形態は、化学的分画法である選択的抽出法によった。調べた土壌は、砂質土,ピート土、及びポドゾル土である。ポドゾル土については、汚染が燃料の微細粒子であるホットパーティクルによるものと、Cs-137についていわゆる凝縮成分と呼ばれているものとについても調べた。事故後10年以上経過しているが、汚染の初期形態の如何にかかわらず調査した放射性核種の大部分は依然として表層に留まっている。一方、少量であるが下方浸透する成分も存在している。核種ごとの特徴として、ホットパーティクルから溶け出した後、各核種は主にイオン交換的に下方浸透し、土壌マトリックスと反応する。Cs-137はピート土のような有機性土壌では浸透が大きく、一方Pu同位体は腐植物質のような有機物と結合性を有する、などがわかった。
柳瀬 信之; 磯部 博志*; 佐藤 努*; 眞田 幸尚*; 松永 武; 天野 光
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 252(2), p.233 - 239, 2002/05
被引用回数:6 パーセンタイル:39.54(Chemistry, Analytical)チェルノブイル事故炉の周辺土壌中に多く含まれるホットパーティクル(HP)の特徴を研究した。用いた手法は、トラック法,線スペクトロメトリー,選択的抽出法,電子顕微鏡分析である。事故炉周辺には約11年経過した時点においても、燃料起源のUO形のHPが存在しており、HPが占める放射能の割合が10~20%であることがわかった。選択的抽出法の結果、土壌中Uのかなりの部分が有機物相及びHP成分に含まれていることがわかった。しかし、湖畔のような湿潤な環境では、吸着成分が多くなっていた。チェルノブイルのような事故の場合、放射性核種の長期の移行挙動を予測するには、HPの変質・溶解の速度及び機構を明らかにすることが重要である。
安藤 正樹*; 平野 雅司
日本原子力学会誌, 44(2), p.162 - 172, 2002/00
チェルノブイリ事故発生当初、事故原因は運転員の六つの規則違反とされた。しかし、その多くは、実際には規則違反ではなかったか、あるいは規則違反であったとしてもその後の事故の進展には大きな影響はなかったことが次第に明確になってきた。むしろ、設計上による原子炉特性の問題,手順書等運転管理上の問題,さらには、安全規則体制上の問題や運転経験の反映にかかわる問題等、事故の背景にある問題のほうが重要であった。こうした問題は、全てのプラントに共通に存在し得る問題であり、同事故からできるだけ多くの教訓を学ばねばならない。また、事故により燃料の多くが溶融し、周りの構造材等と反応して溶岩状燃料含有物質を形成した。それは現在も原子炉の下部に存在しているが、まだ十分に調査されておらず、解明すべき点が多く残されている。今後の調査に期待する。
小野寺 淳一
エネルギーレビュー, 21(7), p.23 - 26, 2001/07
2000年10月に国連総会へ報告された「原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)」報告書のうち、放射線誘発がんの疫学及びチェルノブイル事故の影響に関する主文及び附属書の概要を述べた。放射線誘発がんの影響については、我が国の広島・長崎の原爆被爆者のデータが重要であり、1990年までの調査では、高線量から約100mSvまで、放射線誘発がんのリスクが認められている。チェルノブイル事故の影響については、事故時の小児集団に甲状腺がんの増加が認められている他は、放射線被ばくに起因する健康影響は、これまでは認められていない。
高橋 知之*; 本間 俊充
保健物理, 36(2), p.111 - 121, 2001/06
地表面沈着したCsからの外部被曝は原子力施設の事故時の重要な被曝経路の一つである。この経路の線量評価では、セシウムの地表面からの減衰を表すのに、2成分の指数関数モデルが用いられ、各減衰成分の割合が重要なパラメータとなる。この研究では、チェルノブイリ発電所周辺の土壌表面におけるCsの濃度のモニタリングデータを用いて、土質ごとに減衰成分の割合の確率密度分布を検討した。その結果、土質によってこの減衰成分の割合が異なり、積算線量に大きな影響を及ぼすこと、線量評価の不確実さを低減するうえでは、土質ごとにパラメータを設定することが重要であることが明らかとなった。
天野 光; 斎藤 公明
JAERI-Conf 2000-016, 205 Pages, 2001/03
日本原子力研究所とチェルノブイル国際研究科学技術センターは「環境放射線影響に関する評価・解析及び評価システムの検証に関する研究」を主題として、1992年よりテーマ 1「原子力事故後の環境における外部被ばくの測定及び評価に関する研究」、及びテーマ2「原子力事故後の環境影響評価手法における評価モデルの検証に関する研究」について、1995年よりテーマ3「原子力事故後の地表面環境における放射性核種移行挙動に関する研究」を加えての研究協力協定を締結して、研究を行ってきた。この度、1999年12月に研究協力が終了するのに伴い、ワークショップを開催し、これまでの研究を総括し、今後必要な研究について議論を行った。なお、本ワークショップにはウクライナ緊急時省のハローシャ副大臣が出席し、「チェルノブイル30km圏について」と題して特別講演を行った。本レポートはこのワークショップのプロシーディングである。
天野 光; 上野 隆; 小沼 義一*
Proceedings of the International Workshop on Distribution and Speciation of Radionuclides in the Environment, p.169 - 173, 2000/00
チェルノブイル住民排除区域における土壌中長半減期放射性核種の存在形態を調べた。放射性核種の沈着形態が異なることが知られている2箇所の場所から採取されたポドゾル土壌について、Cs-137に対するSr-90,Pu同位体、Am-241の比は、大きく異なっている。存在状態を調べるため、この2種類のポドゾル土壌の0-1cm層及び10-15cm層につき、化学分画を行った。その結果、0-1cm層では、放射性核種の存在形態は2箇所の土壌で大きく異なっているが、10-15cm層では2箇所の違いはそれほど大きくはない。これは、10-15cm層では表層で溶出した核種の再分配が起こっており、再分配の機構は2箇所の土壌であまり違わないためと考えられる。
高橋 知之; 本間 俊充
保健物理, 34(4), p.365 - 374, 1999/12
原子炉事故時における長期的被ばく線量評価において重要な、地表面に存在するCsからの外部被ばく線量評価モデルについて、モデル及びパラメータの妥当性検証を実施した。本解析には、チェルノブイル原子力発電所近傍の表層土壌中Cs濃度のモニタリングデータを使用した。土壌中への核種の浸透を考慮したモデルとの比較により、現在一般的に用いられている表層からの核種の除去を2成分で表現したモデルが妥当であり、移行が速い成分の割合が最も重要なパラメータであることを示した。また、本解析領域においては、移行が速い成分の割合は0.09から0.69程度であり、核種の浸透による積算線量の減少の効果は減少を考慮しない場合の30%から90%程度であることを明らかにした。
天野 光; 松永 武; 長尾 誠也; 半澤 有希子*; 渡辺 美紀*; 上野 隆; 小沼 義一*
Organic Geochemistry, 30, p.437 - 442, 1999/00
被引用回数:28 パーセンタイル:52.71(Geochemistry & Geophysics)地表に沈着した放射性核種が広域に拡散する機構のうち主要なものは、河川による流出である。本研究は、高度に汚染されたチェルノブイル原子力発電所周辺30km圏内での表面土壌から流域河川への放射性核種の流出について、表面土壌からの溶存態成分の流出について解析したものである。はじめに表面土壌の汚染の特徴、存在形態解析を行い、次いで、表面土壌から水で抽出される成分について、蛍光分析、分子量1万での限外ろ過分析を行った。その結果、超ウラン元素の溶存態成分の大部分は分子量1万以上の成分に在存していることがわかった。この成分は、蛍光分析からフルボ酸の成分であろうことが判明した。Cs-137やSr-90は分子量1万以下が主要成分であった。
柳瀬 信之; 松永 武; 天野 光; 磯部 博志; 佐藤 努
Proc. of 7th Int. Conf. on Radioactive Waste Management and Environmental Remediation (ICEM'99)(CD-ROM), 6 Pages, 1999/00
チェルノブイル事故炉の周辺土壌中には多くのホットパーティクル(HP)が存在し、人へ放射線被曝を与える放射能汚染の源となっている。それゆえHPの性質と環境中での分布を明らかにすることは、HPから溶出した放射性核種の移行挙動の予測と汚染地域の除染を行ううえで重要である。そこでチェルノブイル周辺の土壌、フォールアウト試料及び河川や湖の浮遊物を採取し、トラック法、線スペクトロメトリー、選択的抽出法、X線回折法により分析した。土壌中では放射線核種の大部分は表層10cmに存在した。事故炉から北方の森林土壌ではHPを検出でき、土壌中放射能の半分以上がHPに存在した。一方、南方の土壌、フォールアウト試料及び河川の浮遊物ではHPを検出できなかった。これらの試料では放射線核種の大部分が有機物や鉱物に吸着していると考えられる。
天野 光; 松永 武; 上野 隆; 柳瀬 信之; 長尾 誠也
Proceedings of the 2nd ISTC/SAC Seminar "Large Scale Area Remediation", p.2_75 - 2_81, 1999/00
チェルノブイル30km圏内における長半減期放射性核種の分布と移行挙動の特徴につき、長半減期放射性核種の存在形態に着目し原研がこれまで現地で行ってきた調査結果に基づき、解説した。
羽田野 祐子*; 羽田野 直光*; 天野 光; 上野 隆; Sukhoruchkin, A. K.*; S.V.Kazakov*
Atmospheric Environment, 32(14-15), p.2587 - 2594, 1998/00
被引用回数:14 パーセンタイル:39.4(Environmental Sciences)大気中エアロゾルの拡散に対する新しいモデルを提唱した。このモデルは風によるエアロゾルの拡散と再浮遊、および重力による沈降を考慮にいれた移流方程式で表されている。風速の時間ゆらぎがフラクタル的相関を持っていることが大きな特徴である。このモデルをもとにして、チェルノブイル事故炉周辺数十km範囲内での大気中の放射性核種濃度の長期的時間変化を予測できる。モデルによる予測は、過去10年間にわたる大気中濃度についてのCs等の実測値と非常に良い一致を示している。
松永 武; 上野 隆; 天野 光; Y.Tkatchenko*; A.Kovalyov*; 渡辺 美紀*; 小沼 義一*
Journal of Contaminant Hydrology, 35, p.101 - 113, 1998/00
被引用回数:44 パーセンタイル:74.63(Environmental Sciences)陸土の放射性核種汚染が近傍水系に対してどのような汚染をもたらすか見いだすことを目的に、チェルノブイル事故により放出された放射性核種に関して、事故炉から6-40kmの河川水中において、その「溶存態」並びに水中浮遊物質に含まれた「懸濁態」の放射化学分析、環境条件解析を行った。このような特性は、(1)河川流路による核種の遠方移動、(2)それらの核種の最終的な挙動、(3)生物への利用度に関して重要な事柄である。その結果、Sr-90については陸土汚染からの溶出、Cs-137, Pu・Am同位体については汚染土壌粒子の流出により水系汚染がもたらされていることが示唆された。また、水中のSr-90の高い溶解性、Pu・Am同位体及びCs-137の懸濁物質との強い親和性が見いだされた。さらに河川水中での溶存態核種の存在比率の検討から、核種の溶解性に与える共存イオンの効果、並びに溶存有機物とTRU核種との反応性の検討を行った。
高橋 知之
KURRI-KR-18, p.213 - 220, 1997/00
環境汚染データの解析を行うことにより、原子力施設の安全評価に用いる環境影響評価モデル及びパラメータの妥当性検証を実施するとの観点から、ウクライナ国CHeSCIRとの協力研究を継続して実施している。本報では、チェルノブイル原子力発電所近傍において1993年及び1994年に測定された表層土壌中放射性核種濃度モニタリングデータを用い、放射性核種の分布と動態に関する解析を実施した結果を報告する。1-コンパートメントモデルを用いて、表層土壌から深部土壌への核種移行係数の解析を行った結果、核種移行係数は3核種で明確に異なり、Srが最も大きく、次いで+Pu,Csの順となること等が明らかとなった。
天野 光; 松永 武; 上野 隆; 長尾 誠也; 渡辺 美紀*; 半澤 有希子*; 小沼 義一*
KURRI-KR-18, p.201 - 212, 1997/00
原研では、汚染環境下における放射線影響の評価・解析のため、チェルノブイル国際研究科学技術センターと研究協定を締結し、総合テーマ名「環境放射線影響に関する評価・解析及び評価システムの検証に関する研究」として研究を行っている。本報告はチェルノブイル事故炉周辺環境におけるCs-137,Sr-90及びPu同位体やAm等の超ウラン元素等の長半減期放射性核種に関して、土壌中深さ分布及び存在形態の特徴、河川へ表層土壌から溶出する成分の特徴等につき得られた結果を報告する。本研究の目的は原子力事故後に地表面環境に放出され蓄積する放射性核種について、長期にわたる移行挙動実態の把握、河川等を経由しての移行の実態を明らかにすることである。放射性核種の大部分は依然として土壌表層数cmに留まっているが、浸透しつつある成分も存在している。存在形態について化学的分画手法を用いて結果では、Sr-90は主に移動性成分として存在し、超ウラン元素は腐植物質との結合成分が存在し、Cs-137は不溶性成分が多いことがわかった。河川への流出に関し表層土壌から溶出している成分は、超ウラン元素は分子量1万以上の成分に多く存在する。
平野 雅司; 若林 利男*; 速水 義孝*
原子力工業, 42(10), p.1 - 5, 1996/10
チェルノブイル事故の原因については、事故直後の旧ソ連政府の報告では、「運転員の6つの規則違反」が主要因として指摘されたが、旧ソ連原子力安全監視委員会の報告書(シュタインベルク報告,1991年)では、これらは実際には違反ではなかったか、もしくは違反であってもその後の事故進展への影響は小さかったとしている。さらに、制御棒を挿入すると正の反応度が印加されるという、いわゆるポジティブ・スクラムの効果が大きかったと指摘している。この効果については、ロシアのみならず我が国でも解析が続けられているが、事故原因の中でこの効果がどの程度の比重を持っているかについての評価は未だ定まっていない。本報告では、シュタインベルク報告、IAEAのINSAG(国際原子力安全諮問グループ)の報告書等を参照し、事故原因に関する経緯についてまとめるとともに、事故後の同型炉の改善の状況等について解説する。
長岡 鋭; 斎藤 公明; 坂本 隆一; 堤 正博; 森内 茂
保健物理, 31, p.63 - 68, 1996/00
原研では、1992年以来、放射性核種により汚染された地域における環境放射線の特性解明や公衆への被ばく線量評価及び評価手法の確立を目的として、チェルノブイルにおける各種の環境放射線調査・測定を実施してきた。主な測定項目は・住民の居住区域における線量率分布、・住民の積算線量、・広域線量率分布、・家屋の放射線しゃへい効果、等である。本稿はこれらについて、調査の内容及び結果の一部について解説したものである。
長岡 鋭
保健物理, 31(2), p.126 - 131, 1996/00
1996年はチェルノブイル事故から10年目にあたる。この10年間で明らかになってきた環境影響の現状と今後の課題として、環境放射線調査、体内汚染調査、甲状腺線量調査、WHOによる健康調査計画等に関するシンポジウムが日本保健物理学会主催で開かれた(平成8年2月13日)。本稿はそのシンポジウムでの発表内容をまとめたもので、事故による環境汚染の状況のレビュー、原研がここ数年来実施してきた現地における環境放射線調査について述べた。
天野 光
保健物理, 31(3), p.376 - 378, 1996/00
1986年4月26日にチェルノブイル事故が発生し今年で10年目ということもあり、この10年間の事故の影響を総括する動きが世界中で活発である。本報告書は、ベラルーシ・ミンスクで開催されたEC-ベラルーシ-ロシア-ウクライナ担当省主催の「チェルノブイル事故の帰結に関する第1回EC、ベラルーシ、ロシア、及びウクライナ合同国際会議」及び、ウクライナ国チェルノブイル省研究工業機構プリピヤチが中心となってウクライナ・ゼレニムスで開催された「チェルノブイル事故の清算に関する第5回国際会議」の概要について述べたものである。これらの2会議も10年間の事故の影響を総括するもので、事故の影響を大きく受けたベラルーシ及びウクライナで1996年3月にそれぞれ開催された。
渡辺 美紀*; 天野 光; 小沼 義一*; 上野 隆; 松永 武; 柳瀬 信之
Proc. of 4th Int. Conf. on Nucl. and Radiochemistry, 2, 4 Pages, 1996/00
チェルノブイリから放出される放射性核種の二次的移行を明らかにするために、チェルノブイリ周辺環境の表層土壌及び有機物層中の超ウラン元素を中心とした放射性核種について選択的抽出法により分画を行った。移動成分としては、Sr-90の大部分が可給態として存在しており他核種より移動しやすい。また不溶性成分の分画をAm-241及びCs-137について行った結果、Cs-137ホットパーティクル、ヒューミン、粘土鉱物に多いのに対し、Am-241は主にヒューミン及び非結晶質鉄酸化物に多く見られた。このことから、Cs-137の一部はホットパーティクル中に存在するのに対し、Pu-241由来のAm-241は溶解してヒューミン及び非結晶質鉄酸化物に吸着すると考えられる。プルトニウム同位体及びAm-241はフミン酸及びフルボ酸成分に多く存在し、Am-241はわずかにフルボ酸成分が多かった。